ジャマイカ学

by ジャマイカの風

Takahiro  Sawada

澤田高宏

Culture & History

スーンカム

  • ジャマイカ人がどこかに出掛けるときに ”スーン、カム” って言い残して行く。 SOON COME すぐ帰るよということだが、ジャマイカでは「行ってきます」という意味である。 JUST A MOMENTの代わりにスーンカムを使うこともある。 いずれの場合もSOONではないので要注意である。 例えば、ワークパーミット(労働ビザ)の申請をジャマイカに頼んでいたのだがなかなか認可されない。 どうなってんだ? 返事はスーンカム。 この場合は申請すらしていない可能性が高い。 申請済みであるなればだいたいの期間が予測できる -認可まで4週間とか- からである。

 

  • 時間の観念がないというのは、夜が明けると起き出社し仕事する。 腹が減って暑くなってくると昼食の休憩をし、日が暮れたら終業で帰宅する。 眠くなったら就寝するということだと思う。 しかし、ジャマイカ人は、8時始業であれば8時過ぎに出社。 10時にはお茶し、5時終業であれば、5時前退社は普通なのである。 それならば、遅刻者は便所掃除を課すとしっかり8時前に出社し、一番遅く出社した者に課すと2時間前の朝6時ころに出社したりするのである。 2時間前に出社して仕事をするというパフォーマンスまではさすがに無い。 8時出社というのは他人が決めたジョウシキであって、彼らには他人が理解できないジョウシキがあるのだ。

 

  • 時間にルーズなのである。 待ち合わせの時間は平気で30分、1時間は遅れる。 就職面接で2時に指定しても平気で3時に来て、「2時に予約をしていたんですけど」って、そんなあんたに仕事があるわけないだろう。 仕事ができるできない以前に時間を守るというルールを誰も(上司、社長、文化)真剣に教えないからである。 まあ世界に1つだけそんなルーズな人種がいてもよいではないか。

 

  • ジミークリフ主演の THE HARDER THEY COME という40年前のジャマイカ映画があるが、文化がほとんど変化していない。 DVDの目次を追って解説したものが下記であるが、良い文化も悪い文化も40年経っても変わっていない。 この映画がすばらしいのは、それらをしっかり表現できているのである。 古いジャマイカなら、007の”DR.NO”できれいなドンズリバーやポートロイヤルをみることができるが、THE HARDER~ではきれいなジャマイカなどない。 もしかしたらこの脚本・監督はもう50年古い文化を表現しているのかもしれない。 とすると、1900年頃のジャマイカ文化もこうだったのであろうか。 奥が深いぞ。
  1. 田舎からのバスの中でマンゴをねだられる。
  2. 都会の洗礼をいきなり経験する。 
  3. 仕事を求めさまよう。
  4. 聖書を1日3回読めと牧師に言われる。
  5. レコード会社の前でミュージシャンが売り込み。
  6. 自転車の所有によって争う。
  7. 鞭打ちの刑 (これはもうないと思うが)
  8. 音楽業界になじめない。
  9. 明日のスターを夢見るが現実は厳しい。
  10. ドラッグビジネス
  11. 当局とのやり取りも覚える。
  12. ピンハネされるのが気にいらない。
  13. 仲間の裏切り
  14. 逃亡生活、けどヒーロー
  15. 貨物船で脱出失敗
  16. 当局との死闘

 

  • 所要時間を訊ねて「10分くらい」(10分くらいならRIGHTAWAYだな)、「30分くらい」という返事であれば、その3倍の90分は掛かることを覚悟すること。 1日ならば3日、1週間なら3週間覚悟。 何事もスーンカムで流れていくジャマイカ人なのである。