ジャマイカ学

by ジャマイカの風

Takahiro  Sawada

澤田高宏

Culture & History

マネージメント

  • まあ、子どもは親の言うことを聞かない。 と世間の親たちが嘆くことである。 わたしはしっかり親の言うことを聞いて良い子であったと思われる方も、今一度親に尋ねてみて欲しい。 ビシバシ叩いて躾けをするわけではないから、何回も理解できるまで言うてきかせているのである。 ビジネスでも同じである。 理解しようとしない従業員にわかってもらうまで言い続けなければならないのであるが、ジャマイカの上司や経営者はそれをしない傾向にある。 彼らが強制させられてきた奴隷制度はもうないので、動物のようにビシバシする時代ではないのだ。 それでは彼ら自身が、ビシバシ叩かれないと動かないという独自の文化やDNAを形成し遺伝してきたからなのか?

 

  • 有能な人材を確保することがいかに重要かつ難しいことか、経営者はじゅうぶん理解している。 学校教育の質上昇が有能な人物を育てる土壌になるのであろうか。 半分YESであろう。 この世の中いろんな性格・個性の様々な人間がいるんだから、適材適所でやっていかないと、ひとつの会社に同じような個性の同じような考えの人間が10人いたところで有望な会社であるとは思いにくい。 10通りの考え方があってAという商品を100個売ることを目標にしよう。 いろんな個性のある生徒にGSAT試験で平均90点を目指そう! Bという作業があって通常は30分掛かっているんだが、今月はこれを20分にしよう! 生産性の向上、マネージメントである。

 

  • 北海岸にある有名なリゾートホテルが6月中旬から4ヶ月一時閉鎖するらしい。 従業員200人が一時自宅待機である。 自宅待機中給料や保険金が発生するわけではないから、別の仕事を探さなければならない。 役に立たない従業員を総入れ替えするときに使われる手でもある。 その200人が遣い物になっていなかったとは言わない。 なぜ有名リゾートがこけたのであろうかと人々が噂し合うが、皆口を揃えるには 『マネージメントが悪かった』 ということである。 マネージメント、かなり大まかな範囲で全く具体的でない。 ジャマイカ人が言うところのマネージメントとは、従業員のしつけができていなかったということが多い。 しかし、ホテルの場合、観光客の著しい激減もあろうが、所詮観光はいきものであり、2010年のキングストンのDUDUS事件を端を成す治安部隊発動などのマイナス要因がボディブロー的なダメージになっているのだろう。

 

  • 従業員のしつけができていない例がある。 あるイベント会社のウェイター・ウェイトレスが開始30分で休憩し始めるのである。 お客さんに提供すべきチキンやドリンクを奥で飲み食いしているのである。 お客さんがまだ皿を持って並んでいるにもかかわらずである。 責任者はミスタースミスだ。 「ミスタースミス、何年コイツらをマネージしてんの? 何年やろうが関係ない! 今すぐ辞めろ! コイツら自分たちのパーティーと勘違いしているのがわからんか? お客さんのチキンを食べてはダメ。 お客さんのビールを飲んではダメ。 お客さんの前で休憩やダラケてはダメ。 言葉遣いは正しく、お客さんは友達ではない。 今すぐ伝えろ。 お前がしつけてないからイベント全体が迷惑してるんだ!」 このウェイター・ウェイトレスだけが特別変なのであって、ほとんどのイベント会社はしっかりしつけできている。 しっかりできているイベント会社のオーナーやマネージャーに訊ねると、「特別給料が良いわけではない。 忙しい時に休憩したり飲食しているヤツは即刻クビというのは常識だよ。 とくにウェイトレスに多い。 男はプロフェッショナル意識が強いんだろうな。 他の業界ではよく目にする風景だと思うけど、俺の会社ではそんなことはまずない。 君が目撃したウェイター・ウェイトレスは完璧なド素人だったんだよ。」

 

  • きれいな海に浮かび、きれいな空太陽がお肌に心地よく、生い茂る緑の中で戯れ、おいしい水で乾きを癒し、レゲエの響きで踊り、マリファナがあり(本当は違法でダメだけど)、琥珀色のラムで酔い、豊富な海産物で健康を保ち、観光客激減なんていう原因は見当たらないぞ。